はじめに:永住許可とは
永住許可は、日本に長期間滞在し、社会的・経済的に安定した生活をしている外国人に対して法務大臣が与える在留資格です。取得すれば在留期限がなくなり、更新手続きの必要もなくなります。また、配偶者や子供の在留資格にも良い影響を与えることがあり、非常に人気の高い在留資格です。
しかし、永住申請の審査は厳格で、「素行善良」「独立生計」「日本国の利益に適合」などの要件を総合的に見られます。特に「収入」「税金・社会保険の納付」「無職期間や転職履歴」のある方は注意が必要です。本記事では、転職歴があり、無職期間に免除申請などを行っていた方が、どのように永住許可申請を準備すべきか、詳しく解説していきます。
1. 転職歴がある人が永住申請で直面するリスク
1-1. 収入の安定性が審査される
永住申請では、単年の収入だけでなく「過去5年間」の安定性が重視されます。転職により収入が減少していると、「生活が安定していない」と判断されるリスクがあります。
特に以下のケースは要注意です:
- 転職後に年収が大きく下がっている
- 転職先での勤務期間が3か月未満
- 転職を繰り返している
1-2. 転職先の職種と在留資格が一致しているか
在留資格(特に「技術・人文知識・国際業務」)を持っている場合、転職後の業務内容がその資格に合っていないと、資格外活動と判断されるおそれがあります。これが発覚すると、在留資格違反として永住申請が却下されるリスクもあります。
1-3. 所属機関変更届の提出
転職をした場合は、14日以内に入管へ「所属機関変更届」を提出する必要があります。これを怠ると、在留状況に不備があると判断され、永住審査でマイナス評価となります。
2. 無職期間がある場合の注意点
2-1. 離職後の「空白期間」
転職の合間に無職期間があると、次のような疑問が入管に生まれます:
- どのように生活していたのか?
- 生活費の出所は?(貯金か、家族の援助か)
- 生計の安定性に問題はないか?
3か月以上の空白期間がある場合、詳細な説明が必要になります。
2-2. 証明書類の準備
- 貯金の残高証明書
- 離職票、雇用保険受給資格者証
- 求職活動の記録(ハローワークの証明等)
これらを提出することで、「一時的な無職であり、生活に問題がなかったこと」を説明することが可能です。
3. 税金・年金・保険の免除申請がある場合の影響
3-1. 社会保険・年金の免除は「形式上は履行」だが不利に評価される
年金や健康保険の免除は、制度上正当な手続きとして認められますが、入管では「経済的に困窮している」と見なされ、生活の安定性に欠けると判断される可能性が高いです。
3-2. 特に注意が必要なケース
- 免除期間が6か月以上ある
- 税金と年金の両方が非課税・免除されている
- 複数年にわたり免除や未納がある
このようなケースでは、現時点で十分な収入と納税実績があっても、過去の記録がネックとなり不許可になることがあります。
3-3. 免除理由の説明が重要
免除や非課税の理由が正当である場合(失業、病気、災害など)、その証明書を提出すれば、入管に理解してもらえることもあります。
- 医師の診断書
- 離職の記録
- 家族の死亡などの事情を証明する書類
4. 年収の基準と、転職後の対応方法
4-1. 家族構成別の年収目安
家族構成 | 目安年収 |
---|---|
単身者 | 300万円以上 |
夫婦のみ | 350〜400万円 |
夫婦+子1人 | 400〜450万円 |
夫婦+子2人 | 450〜500万円 |
※ 上記は目安であり、地域の生活費や住居環境によって若干変動します。
4-2. 転職後すぐに申請は控える
転職直後(3か月未満)では安定性が証明しにくく、永住申請には不利です。できれば6か月以上の勤務実績を積み、以下の書類を揃えてから申請しましょう。
- 給与明細3〜6か月分
- 源泉徴収票
- 在職証明書
- 推薦状(会社からの書類)
5. 対処法と永住許可を得るための工夫
5-1. 現在の収入や資産を明確に示す
過去に免除や空白期間があっても、現在の状況が安定していれば挽回できます。
- 預貯金残高証明書
- 安定した給与の証明
- 長期雇用の見込みがあることを示す雇用契約書
5-2. 家族の収入も合算可能
配偶者と同一世帯で生活しており、住民票や納税証明で家計が一体であることが証明できれば、配偶者の収入も合算して判断してもらえることがあります。
6. まとめ:転職・免除歴があっても永住申請は可能
注意点 | 対応策 |
転職で年収が下がった | 新しい職場で安定した実績を積む |
無職期間がある | 預金や離職票で生活の安定を証明 |
免除申請をした | 正当な理由と証明書類を用意する |
社会保険未納がある | 追納や現在の納付状況を示す |
永住申請では、過去の一時的な経済的困難があったとしても、現在の生活が安定しているかどうかが大きな判断材料になります。適切な説明と証明書類を用意すれば、許可される可能性は十分にあります。
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